社員の行動力向上

社員の行動力向上の為に

前のページで社員の動機付けに加え、行動へのきっかけ作りが
あると、社員はスムーズに行動出来るとお話しました。
ここでは、それを全社的に社員の行動力向上を実現する方法を
お話しします。

成長する企業のシリーズの最終回です。

社員の行動力向上とは

企業の行動力について、考えてみましょう。
一部の優秀な社員の行動だけでは、何も変わりません。
多くの普通の社員の行動が起こらなければ、大きな動きには
なりません

行動で一番に問題になる事は、早く行動を起こせるかでしょう。
それを多くの社員が起こせなければなりません。

社員の行動力とは着手の早さ

良く言う「行動力」とは、どの様な時に使うかを考えてみま
しょう。
例えば、「あの人は行動力がある」と言う場合、先ず、着手が
早い時に一番多く使います。
 
次に使う時は早くやり遂げた時でしょう。
長い時間苦労してやり遂げ得た時には、「行動力」の言葉は使
いません。

大会社CEOも迷いながら着手

20年前に出版された米国のビジネス書「不連続の組織変革」
(ダイヤモンド社)の中(P325)で、変革を成功させたペプ
シ、AT&T,コーニング等各社のCEOへのインタビューが纏まっ
て掲載されていました。

興味があるのは、ペプシのCEOだったウエザーラップのコメン
トです。
質問に次の様に答えています。

  • (質問)どの様な抵抗にあいましたか?
    • (回答)会社上席の70人に変革の必要性を理解してもらう
      のが大変でした。 
      顧客との前線の人に近づくにつれて、かなり楽になりました。
      顧客と一緒に仕事をしている社員はいろいろ重要な質問を
      して来ました。
  • (質問) 個人で直面した最大の難問は?
    • (回答)「何でも答えられない」と言うと「この男ちょっと
      バカじゃないか」と返事が来ました。
      自分達は不確かな事をしていると認め、「私には答えが分
      からない。一緒に考えよう」と言える事が重要。
      そう言わないと遅れてしまいます。

これを読むと、如何にウエザーラップが解決策を十分に持てる
事なく、変革を始めた事が良く分かります。

興味あるポイントは次の2つですね。

  1. 顧客に接している社員ほど、変革への抵抗が少ない。
    経営陣が一番反対した。

  2. 変革は分からない事が多いが、留まっていてはいけない。

彼は、初めから成功を確信していませんでした。

社員の行動力向上の環境作り

先ず、コミュニケーションの奨励をしましょう。
社内コミュニケーションがもっと自由に出来る環境作りが必要
です。
組織内の行動=コミュニケーションです。
 
コミュニケーションとは、自分の意見を言う事を意味します。
本来、企業の仕事は全く一人で完結出来るものは何一つありま
せん。
常に、業務は他の部門との共同作業、又は、自部門の他の人と
の共同作業です。
そこで、個人個人の仕事が上手く行く様に、お互いがそれぞれ
の相手と良いコミュニケーションが出来ないといけません。
その結果、コミュニケーション、つまり、行動が生まれます。

これが、社員の行動力向上に繋がります。

そこで、他部門の人と同じテーマについて意見交換すると、全
社的な良いコミュニケーションの下地が出来ます。
 
テーマは何でも良いでしょう。
安全、改善提案、勉強会等です。
 

全社的な行動力向上は、全社的コミュニケーションから

そして、本丸の目標達成で社内のコミュニケ―ションを全社に
広げ完成させましょう。目標達成には意見交換だけではなく、
共同作業が絶対に必要です。
 

  • 形式的ではなく、必要に応じてミーティングが始まってる。
    トップから総べての層の社員にコミュニケ―ションが身近にな
    っている。
  • 自由な意見交換が行われ、経営トップへの遠慮はない。
    又、一方的に報告する、又は報告を聞く という会議は殆どない。
    報告するだけなら、又、聞くだけなら、Eメールで充分。
  • 社内に多くの場所と道具が提供されていて、その場でコミュニ
    ケーションを始められる。

そして、トップ方針として性急に結果だけを求めず、仮説である施策にトライする事の重要性を提示しましょう。
先ず、やってみる事を体感したら如何でしょうか。

これこそが、社員の行動力そのものです。

3つの合言葉を共有

社員が合言葉を使う事は、全社的に大きな効果があります。
言葉の共有による一体感、コミュニケーションの一層の円滑化
がその大きな効果です。

全社的な社員の行動力向上は、全社的に共通な行動が大きな
効果を生みます。

又、この3つの合言葉は、仕事をする上で考える良いヒントに
もなります。

  1. なぜなぜなぜ
  2. 具体的に もっと具体的に 更に具体的に!
  3. 先ず、次に、更に!

これらの合言葉は使って意味があります。
いろいろな工夫で社内に流行らせて下さい。

各自が今月の合言葉を決めて口癖の様に使っても良いですし、
毎月、全社員共通の合言葉を決めて使う方法でも良いでしょう。
先ず会社のトップが使わなくてはなりません。

なぜなぜなぜ

云わずと知れたTQCでおなじみです。3回でなく5回繰り返せ
と言う方もおられますが、日常のビジネスの活動では先ずは3
回で実践です。
自分の頭が今までより遥かに整理され、論理的思考が身につき
ます。

その結果、整理して話が出来る様になり、コミュニケーション
が上手く行く様になります。

具体的に もっと具体的に 更に具体的に!

一般論で終えて、個別の解決法は現場に任せると言う管理職が
多い。一般論しか議論出来ないと、現場での解決力とは全く無
縁の議論になります。
そうならない為に、想像力が増し、仮説である施策がより具体
的になればなる程、現実的な力を持つ事になるのはご理解戴け
るでしょう。

先ず、次に、更に

事業を進める時、進む道をあるだけ書き出してそれぞれのメリ
ット、デメリットを書き、さぁ、どれにしようか と言うやり
方は良く見かけます。

これをやると、普通、一番無難なデメリットの少ない道を選択
します。
このやり方で思い切った道を選択できる人は少ないでしょう。
  
そこで、進む道を決めそこに進んだ場合、想定できる障害を如
何に超えるかだけに絞って進む方法が一番大胆な道に進めます。
 
この時に、必要なのが、想像力ですね。
この想像力で障害と対策を考え、PDCAを先取りして行くのが
「先ず、次に、更に」です。
    
障害とそれに対する施策を「先ず、次に、更に」で想像して行
きましょう。
これにより、当たり前にやる事に着手しても、又、問題が起こ
っても予定通りとなります。
いわゆる想定内です。

社員の動機付け」に続き「行動へのきっかけ作り」を説明し、
今回、それが全社的に機能して行動的な組織になって行く
スト-リ-を説明しました。
勿論、数年はかかりますが、がまん強く待たねばなりません。
  
この様に考えて来ると、組織として持っている機能発揮を左右
するのは結局は、社員の皆さんだとハッキリして来ます。
もっと言えば、行動する皆さんです。

皆さんが合言葉を口にしながら、元気良く仕事をされている光
景を見るのが楽しみです。

企業行動のトリガーは、社員が引く

企業のマネジメントには妙薬も特効薬もありませんが、どこよ
りも早く行動を起こせる企業になれば、絶えず発展し続ける企
業への変身トリガーに、もう、指がかかったも同然でしょう。

トリガーへ指を掛けて引けるのは、社員の皆さんだけです。
社員の皆さんは皆、自分の会社が発展し続ける事を願っています。
その皆さんが社員の行動力向上の為に全社的な行動をとったな
らば、鬼に金棒です。

きっと、その社員の皆の気持ちに少しブレーキをかける何かが
あるのでしょう。
私はいつも、それが何かを皆様と考えながら、皆様の日常活動
をサポートしています。

これで、成長する企業の職場で、当たり前の事が当たり前にや
る様になれるについて説明したシリーズを終わります。

次は、新規拡販/新規顧客開拓です。