新規顧客開拓

新規顧客開拓の難しさ

全く関係を持たない新規の顧客開拓の成功率は、普通、
高いとは言いにくいです。
初対面のお客様が初対面の訪問者に対し、自分達の考えやニーズ
を話す事は稀です。

余程の有名企業がマスコミで騒がれている開発品を持って来れ
ば会ってくれるでしょう。
しかし、普通の企業の全くの新規顧客開拓には、正直、妙案は
無く、地味な努力しかありません。

地味な努力とは、事前準備です。

これからお話するのは、何も全く新規の顧客開拓の場合だけで
なく、既存の顧客での他部門への進出やシェアアップの為に使え
ます。
又、総べて、私が実践して成功した手法です。

営業トーク戦術は役に立たない

電話での話術や名刺の出し方で相手を引き込む練習をされてい
るところがあります。
営業マンの登竜門としての練習と言う意味では良いでしょうが、
直接的な効果は小さいでしょう。
特に生産財営業や物流営業の売り込みでは、尚更と思います。

営業トークのワースト3とは

  1. ご近所を回っている×××です。お時間を戴けないでしょうか?
  2. お時間を戴いて、わが社のご紹介をさせてください
  3. 何か見積もりさせて下さい。何でもやります

この営業トークに対して・・・

  1. に対しては
    1. ウチの会社は「数打てば当たる」の会社か?
    2. ウチは、その他大勢の会社?
    3. 回っている? 誰が? 犬のお巡りさん?

  2. に対しては
    1. 戴けないでしょうか? と否定形の投げかけだと、相手は
      断り易い。「いやぁ 結構です」とバッサリお断りされる。
    2. ウチが何をやっているのか知らないで、売込する貴方には
      何の興味もありません。
    3. 営業研修してるの? 今、忙しいんだ。

  3. に対しては
    1. 何が出来るのか知らないが、何でもやるなら大した事は出来
      ないだろう。
    2. 何故、こちらが、貴方の為に考えねばならないのか?

寧ろ、新規顧客開拓の場合、ホームページを持っている企業に
対してプレゼン資料を添付しアプローチする方が、効果的な場合
もあります。

事前準備した資料を添付するのです。

新規顧客開拓の手順

  • どんな小さな伝手でも大事にし
  • 相手を徹底して調べた準備の上
  • こちらの提案内容を絞ってからアプローチする
    これしかないでしょう。
     
    以下に、過去、直需営業でトライして成功した時の準備を並べ
    ました。

新規顧客開拓の事前準備

準備が丁寧にしてあると、コンタクトで一度は断られても、
次の機会に会ってくれる可能性があります。
出来る限りの準備をしましょう。

準備の詳細

  1. 事前調査
    とにかく、徹底的に開拓顧客を調べて、自社商品の何を売り込む
    かを決めます
    以下に、調査項目を書き出しました。

    1. 自社の売込商品と売込先市場の選定、その理由付
    2. どの市場の商品の、どの部分に使われるか
    3. 要求される機能から、自社の売込商品(型番)を決める
    4. 売込先市場の上位企業の洗い出し
      図書館、業界紙、ネット検索
    5. 自社との関係を徹底的に洗い出し
      現取引先企業と当該企業との実績有無。特に縦割り市場だと採
      用されていても知らない場合もある。
      全社員への人脈洗い出し依頼、社長以下の全社員

  2. ターゲットユーザー会議運営開始
    ターゲットとする新規顧客の開拓の為に、TU(ターゲットユーザー)会議を始めます。

    1. 運営
      1. 開 催 :1回/月最低
      2. メンバー:営業は当然だが、加えて、技術、企画、工場。
        営業は、営業担当役員以下
      3. 営業支援:商品力が無い場合は、尚更、営業以外が如何に
        して営業支援が出来るか考える。
        訪問が始まったら、一度は同行する事。

  3. TUの決定
    1. TUの選定
    2. TUの、どの商品を狙うか
    3. TUの、その商品の勉強(シュア、機能、競合会社との比較)
    4. TUに売込む自社商品の決定
    5. 事前勉強会

  4. 自社商品の勉強
    1. 想定する競合会社はどこで、その特徴は何か
    2. 競合会社品と自社品の差別化は何か
    3. お客様の想定受け入れ検査項目
    4. 納入荷姿、納入ルート
    5. 概算見積もり
    6. サンプル納期、手配納期

  5. 自社商品の競合力
    1. 自社商品の競合力を冷静に判断すること
    2. 競合力がない商品を売り込むハードルの高さを
      営業力で補う事は、あり得ない分けではないが、
      良くその事を共通認識とすること。
      売れるか売れないかを、営業力の責任としない。 

コンタクト本番

  • 上記で調査した情報を生かして、「役に立つ」を売り文句に
    コンタクト開始。
    「お客様のどの商品のどの部分に、自社のこの商品が役に立
    つ」と言うこちらの考えを具体的に書き、事前勉強してある事
    を響かせる。
  • 狙いが外れても構わない。
  • 事前準備している事を伝えれば、目的の70%は達成している。
     
    コンタクトの窓口は、先方のHPの問い合わせ窓口→ダイレクトメ
    ール→直接訪問→電話 の順が良いでしょう。

自社の実績は大きくPRした方が良いでしょう。

物流を売り込む番外編

  • 帰り便の提供
    • 売り込み先の工場が自社の納入先に近い場合、自社の納入後
      の帰り便で売り込み先の商品を積んで輸送が可能。
    • 運送業者との事前打ち合わせが必要。
      帰り便なので、運賃は往路のコストダウンが実現する事をPR。
      物流改善でも「お役に立てます」と言うアプローチ。

販社は、メーカとの連携が不可欠

  • 仕入先メーカには先行投資的な活動を約束して、連携を続け
    る事。
  • 先行投資で、受注の際の商権を確保する。
    別の商品の開拓営業を任される可能性もある。
  • メーカには商社にない広い情報が集まっている。

次は、目標達成/目標達成の本当の成果についてです。