物流利益率改善

物流利益率の改善

物流利益率の改善とは、物流改善のスキルを使って、物流費削
減をする事です。
従って、物流会社が行う場合は利益改善、受払改善ですし、荷
主が行う場合は、物流費削減、コストダウンとなります。
ここでは、物流会社が行う利益改善がテーマです。

物流利益率の改善は赤字便だけがターゲット

各営業所で利益の悪いところだけを改善します。

赤字便や所の赤字をそのままにして、拡販でカバーしようとす
ると、必ず安値で受注し始めるので、余り良い結果は生まれせん。

又、所全体の決算だけを見ていると、黒字便が多く出た月は決
算が良く、逆に赤字便が改善されているにも関わらず、黒字便
が少ないと赤字便が改善されて無い様に見え、結果を正確に把
握できません。
これでは、利益率の改善とは言えません。

赤字便を減らす努力は、そのまま物流改善でもあります。物流
改善スキルが低いと、当然、利益は改善も確保も出来ません。
大きなスキルアップで利益を確保したいものです。

そこで、ワースト5を提案します。

物流利益率改善「ワースト5」の手順

赤字便のワースト5を決め、その撲滅で物流事業の利益改善を
進めます。
赤字額の大きいルート順にターゲットとして撲滅して行く
方法です。
配車係の腕の見せ所でもあります。
是非、社長表彰等をして提案者の士気アップに努めて戴きたい
です。

又、このワースト5は、赤字便を絶えず管理している事になり、
事業の損益管理がいつも行われている事にもなり、マネイジメ
ントとしても有効です。

ワースト5の設定

  1. 発地
    発地は営業所、センター等のPC(プロフィットセンター)を持
    っていて、損益管理が出来ていて、物流データがある拠点とし
    ます。

  2. お届け先エリアは県、又は地域
    この場合、エリアは県、又は地域となります。
    如何に荷物を集めるかが鍵なのでエリア別です。
    お客様別のワースト5よりも、エリア別ワースト5が大事です。

  3. お届け先エリア別のワースト5設定
    ワースト3でも、7でもOKです。初めは、少ない方が良いで
    しょう。
    お届け先をエリアで括り、エリア別赤字受払額のトップ5を
    決ます。
    ワースト1位は、赤字受払額計が一番大きいエリアです。

  4. 赤字便の赤字受払額だけ合計
    赤字受払計とは、赤字便の手配の赤字受払額の合計です。
    黒字受払額から、赤字受払額を差し引いた残ではありません。

    1. 当ルートの全手配便が赤字
      1. 全手配の赤字受払額合計
    2. 赤字も黒字もあるルート
      1. 赤字受払手配合計

初めは、ワースト5の赤字額計が少なくて、期待される改善額
が少ない場合でも、ターゲットはワースト5までとしましょう。
ターゲットが多過ぎるとフォローが散漫になります。
決めたワースト5エリアは、仕組みで黒字転換エリア以外は1
年間固定です。

ワースト5の改善指標は、赤字受払率

指標を赤字額の大小で決めると、額が減れば改善されたとなり
ますが、本当にそうでしょうか。
何故なら、赤字エリアへの輸送量が少なかった月は赤字額も少
なくなる可能性があり、そのエリアへの輸送量が大きかった月は、赤字額も大きくなる可能性があるからです。

そこで、私が推薦する指標は、赤字受払率の縮小です。
赤字受払率=赤字受払額計÷当該の売上高計
この赤字受払率を使って、努力の成果を把握します。

この赤字受払率の改善が、物流利益率のターゲットとなります。

ワースト5の改善目標値の設定

目標値は1年間固定で運営しましょう。
仕組みでプラスに転じたら、そのエリアは卒業です。

%又はポイントでOKですが、額はダメです。先ほど書いた様
に、輸送量によるバラツキがあり評価が難しくなります。

7月実績 千円/月 (-%) (p) (%)
お届け先 赤字額 赤字受払率 改善ポイント 目標値
1.千葉県 -2,000 -1.8 0.3 -1.5
2.神奈川県 -1,900 -3.3 0.5 -2.8
3.山梨県 -1,800 -2.4 1.0 -1.4
4(省略)
5(省略)

※ワースト5は、赤字金額の大きい順です。赤字受払率の順では
ありません。
改善は、赤字受払率のマイナス数値をプラス、又は小さくしま
す。

物流利益率の改善方法

改善方法は物流改善そのものです。

物流改善で書いてありますので、参考にして下さい。

「ワースト5改善賞」の表彰

社内での底上げ活動の一環となり、我々にとっては物流のスキ
ルアップそのものですから、大々的に社長表彰して下さい。
表彰対象は営業所ですが、所長だけでなく、配車担当者、改善
アイデア出した人も対象にしましょう。

次は、物流提案営業です。