物流改善

物流改善の進め方

工場出荷品の物流改善は、荷主の協力なしでは難しい面もあり
ますが、物流会社だけで出来るところはかなりあります。
物流改善は、机の上だけでは限界がありますので、是非、荷積
みの現場で、積み替えの荷降ろしの現場で、梱包の現場でアイ
デアを磨いて下さい。

下記に、一般的な手順をまとめてみました。
要は、ルートを1本化、又は一筆書きにまとめ、車トンを
あげ、荷を集めて積載率を上げて走る・・・です。

物流改善は現状確認から

物流改善は、改善する対象を決めたら、現状を確認することか
ら始めます。
実際の車トン、ルート、積み替え、積み合わせの有無など多岐
にわたります。

  1. エリアを特定
    1. 先ず発地と着地エリアを特定
      改善する対象のエリアを決めます。
      基本的には荷物を集める方向ですので、エリア同士を決め
      ると良いでしょう。

  2. 確認する物流項目
    調べる物流項目は、総べてルート別です。

    1. ルートを初めとし物流項目全部
      1. 発地 着地
      2. 車トン 積載重量 積載率
      3. 荷物の種類 重量勝ちか容積勝ちか
      4. 荷姿と梱包サイズ
      5. 頻度 時間指定 有無
      6. 積み替えの有無、積み合わせの有無

    2. 帰り便の活用準備
      1. 帰り荷の有無
      2. 帰り便の洗い出し

現状のルートをマップに線引き

この作業は必ずして下さい。
必ず実際に走っているルートをマップに示し、ルート横に物流
項目を記載する。
記載項目は、上記の物流項目です。
そして、打ち合わせの時には、必ずこのマップを広げて目で見
ながら検討を進めて下さい。

3つのメリットがあります。

  1. ルートが具体的にイメージでき、距離感が出る。
  2. ミスが減る
  3. アイデアが浮かぶ

目で見ながらの効果は、本当に大きく、基本的に無くてはなら
ないものとして下さい。

収益の確認

契約条件、売上・受払の再確認が必要です。
物流改善した効果を計算する為にも、現状の物流費を把握する
必要があります。

  • 契約条件:車建て又は個建ての価格
  • 実績  :売上高千円/月 売上単価
  • 受払  :受払額千円/月 受払率

物流改善のモデル作り

ここからは、物流費が削減されるモデルを作って行きます。
始めは荷を集める事からです。

物流改善の為の手法

次の手順に従って作業を進めて下さい。

  1. ルートの一本化
    1. 車トンを上げる為の複数ルートの一本化、又は、一筆書き化
    2. タイミングの一本化(調整要) 時間指定の調整可否
    3. 頻度の一本化(調整要)
  2. 積載率を上げる
    1. 荷姿改善
    2. 数量/梱包及び梱包数/トラックの増量検討
    3. 荷姿の組み合わせ
    4. 重量勝ち/容積勝ちの組み合わせ
    5. 段積み、天合せの工夫
  3. 帰り便活用、直送化
    1. 対象となる便、中継倉庫の洗い出し

物流改善した後の注意点

  1. 先ず、物流改善後の物流データを確認します。
    1. 荷物が減って積載率が低下する可能性もあり、比較表を作
      って確認する事。

    2. ドライバー、業者が変わる場合もあり、荷扱い、マナー、
      安全教育をしばらくは継続して確認する事。

    3. 積載率に余裕がある場合は、新ルートへの更なる荷を集め
      る努力を直ちに開始する事。

  2. 物流改善と荷主側
    1. 改善後の契約は、車トンと積載率が変わっているので再見
      積を入手して下さい。

    2. 積載率データは絶えず管理し、定期的に、車建て、個建て
      換算の単価計算をしておく必要があります。

    3. 荷が減り積載率が下がった場合、車建て変更が必要。
      荷が少ない場合の個建て契約は、業者さんの負担となり好ま
      しくありません。

  3. 物流改善と運送業者側
    1. 改善後の新原価を把握する事
      検討は、車建て、個建ての両方で計算し、損益分岐となる荷
      量と価格を、双方の契約条件で算出しておく事。

  4. 残スペースの有効活用
    1. 頻度の高い便で、残りスペースがあれば、スペース貸し」
      と言うビジネスが可能です。
      定期便化し、定期便ビジネスモデルで営業活動が出来ます。

物流改善は現場百篇

物流改善は、出来るだけ現場百篇を実践して下さい。
特に、荷姿改善、積載率向上、保定のスキルアップの為に、
現場で考えましょう。
効用は次の2つです。

  1. アイデアが多く出て来る
  2. ミスが減る
    現場で、荷物と言う現物を見ながら考える時のアイデアは、
    机の上からでは、絶対に浮かびません。

疑似現場百篇の効果

これらの作業は、ただ、頭だけで考えても限界があり、又、
ミスも良く起こります。
ルートの集約検討は、必ず、マップにルートを線引きしなが
ら進めて下さい。

  • よくある机上の推測と現実の違い防止
  • 仮説による推論がし易い
  • 単純な勘違い防止
  • マップ上に書かれたルートの一本化、一筆書き等の改善

このやり方を、疑似現場百篇と私は呼んでいます。
眼で見えることが重要ですね。

次は、物流利益率改善です。