熱い溜息

熱い溜息のエピソード

熱い溜息と書くと、何やらド演歌の題名みたいですが、サラリ
ーマンの人情話です。

営業課補の時代に、ある大手のパソコンメーカーさんをターゲッ
トユーザーとし、ナントカ参入して、パソコンに採用してもらう
計画が持ち上がりました。
何故か、井川やれ!とあっさり決まり、上司のR課長と一緒に日
参が始まりました。

そのメーカーさんはどちらかと言うと我々とは相対する系列の傾
向があり、5年掛けてやろうとなりました。
参入の手法は、新規顧客開拓や営業に書きましたので、ここ
では省略しますが、営業の現場の辛さをとことん経験しました。

キチンと事前準備し、的を絞って提案を何度がする機会は戴きま
したが、それから先へ進みません
挨拶しても顔を上げてくれない、顔を覚えてくれない、当然、
名前を覚えてくれない・・・こう言った日々が数カ月続きまし
た。
当時、私は、課長補佐と言っても担当だったのですが、他のお得
意様を他人に移管し、そのパソコンメーカさんだけをやれ! と
なっていたので、他に訪問するところがありませんでした。

正直、その会社の正門の前で、自分の会社名を入れたティッシュ
を配ろうかなと思った程でした。

R課長とは良く一杯お付き合いをさせて戴きました。有楽町のガ
ード下、新宿の飲み屋街、おでんの屋台等、ありとあらゆると
ころで一杯呑みましたが、話題はいつも「どうしたら参入出来
るか」でした。

その後、新聞の切り抜きや業界紙を持って訪問し、話題を提供し
ながら我々のターゲットを絶えず話題に織り込むと言う事を続け
ました。

3年でナントカ参入し、その後、課長に昇格した際に、R課長か
らレターを戴きました。

そこには、「あの時、随分君と飲みましたね。初めは二人とも
暗い溜息でしたけど、段々、熱い溜息に変わって行きましたね」
との言葉が書かれていました。

R課長、お世話になりありがとうございました。
絶えず励まされた事を心から感謝しています。

次は、仕事のエピソード工場編/飴とお煎餅 です。