マルボロフライデー

マルボロフライデー

値下げ発表

1993年4月2日、タバコメーカのフィリップ モーリス社は、製品のマルボロの価格を20%値下げすると発表した。

この結果、この一日でフィリップ モーリス社は株価を26%も下落させ、時価総額で100億ドル=1兆1,200億円($=112円)を失った。

ブランド失墜とカウボーイ落馬

当時、マルボロの売値は2ドル40セント/箱に対し、キャメル等の安売りタバコは1ドル/箱で、マルボロは正にブランド品として存在して来た。

しかし、その他の安売りタバコのシェアは36%に達し、遂に、モーリス社は値下げに踏み切ったのだ。

1954年から、馬に跨りテンガロンハットに咥えタバコのカウボーイ姿のマルボロマン(ウェイン・マクラレン他)は広告のシンボルと皆、思っていた。
しかし、この日、「カウボーイが落馬した」とマスコミは書いた。

この日、人々はマルボロがブランド名で価格を高く維持する事が無理ならば、他のブランド品も同じと考え、コカコーラ、ディズニ―、P&Gも株価を下げる事となった。

マーケティングは死んだ

これはマーケティングの失敗と言われ、マーケティングは死んだ、ブランドは死んだと盛んに言われた。

消費者は安い一般的な商品へ関心を移して行ったにも関わらず、90年代の早い時期に、少しづつ有名ブランドへ顧客は戻りつつあった。

ブランドの定義は変わり、単に商品広告の為ではなく、人々の生活スタイルに入り込んだところでの存在と見られる様になっている。

ウエイン・マクラレン(1940~1992)

Wayne Mclaren

亨年51歳 俳優
1975年、 馬に跨ってカウボーイ姿でマルボロの宣伝に登場した。1日30本を吸い、長らく広告塔として多くの若者を喫煙へ誘ったが、49歳の時に肺がんが見つかって以来、禁煙活動へ傾いた。

英国のBBCに出演し、「私が宣伝したこの商品が、どれだけ多くの人々を死にやったかを考えると、耐えられない」と語った。

最期に、妻へ語った言葉

「子供たちを頼む。タバコは人を殺す、そして、私がその生き証人だ」

Take care of the children. Tobacco will kill you,and I am living proof of it.