エピソードはビジネス現場の汗の結晶
タクシー代のエピソード
企画時代の事業部は赤字でしたから、無駄な経費には実に厳し
く指導されました。今でも強烈に覚えているのは、工場で上司
(事業部長)からタクシーの迎車代で叱られた事です。
近くの駅に停車する列車は、2本/時間なので、時刻表は誰でも
頭に入っています。
普通、その時刻を考えてタクシーを呼ぶのですが、その時はう
っかりして考えずにタクシーを呼んでしまったのです。
普段より迎車代が100円程高く成りました。
そして、上司の事業部長に叱られました。
自分のお金だったら君は少し呼ぶタイミングを考えてタクシー
を呼ぶだろうが、会社のお金だから考え無かったのではないか
と言う叱責でした。
私は、全く特別な意図はなく、単にうっかりしただけですと答
えましたが、無関心だったのは事実でした。
この100円の無駄は、大きな意味を持っていると思いました。
- 毎日発生する経費があったとします。幾らでもありますね。
その経費を従来より、100円/日削減して、1年間続けたと
します。
そこの会社の社員は100人でした。
成果は幾らでしょうか。 - 100円/日×22日/月×12カ月×100人がその答えです。
答えは、2,640千円/年の経費減=利益増です。 - では、200円/日で、500人の会社ならばどうでしょうか。
- 26百万円/年です。
驚く程の成果です。
2つの事に驚きますね。
- 一つは、毎日削減する経費の額が小さく可能性が大と言う事
と全社的な成果の大きさとのアンバランスな効果の大きさ
- もう一つは、この程度の削減額ならば、今日から出来ると言
う現実感です。
これは利益額と考えられますので、26百万円を新規拡販
で得る事は、結構大変でしょう。
計算してみましょう。
次の様に、対売上高比を決めます。
- 受払率年 19%
- 販直費 6%
- 限界利益 13%
- 固定費 11%
- 営業利益 2%
これは、月次決算の予算実績差異分析の説明で使った4月の実
績の数値です。
固定費率11%なので、26百万円/年÷11%=236百万円/年
の売上増に匹敵します。
この数字は、大会社にとってはバラツキの範囲内となる事もあ
るでしょうが、固定費率はどの会社でも共通に考えるべきなので、中小会社にとって売上高236/年の増は、大きな負担のとこ
ろは多い筈です。
それを500人の会社ならば、200円/日の削減で実現します。
しかも、今日からやろうと思えば直ぐにでも出来る範囲ではな
いでしょうか。
その後、事業部は無事、黒字になりました。
次は、仕事のエピソード海外編/給料は上がらなかった です。