予算実績差異分析とは
予算実績差異分析は、決算対策の「基本中の基」です。
当月の決算の横に、予算との差額、又は、%等の数値差を計算
して並べます。
一番上の売上高、又は数量から、一番下の営業利益まで、月次
決算で出て来る費目総べてについて差異を並べます。
慣れて来ると、当月の決算を見る前にこの差額を見ると、それ
だけで、大体の決算構造が分かります。
尚、私が在籍した企画管理部で受けた、経理部からの月次決算
や新予算のヒヤリングでの鋭い指摘やドタバタについては、
企画管理を参照して下さい。
予算実績差異分析の効用
月次決算は年度決算と少し違うイメージがあります。
私にとっては活動分析報告書の様です。
決算と言う情報は極めて有効で、この情報を如何に利用して我
々の次の行動に反映させるかは、経営そのものと言えます。
効用は次の通りです。
- コミットメントの予算を達成できたか否かが即座に分かる。
- 売上から利益までの項目別に予算達成、未達が分かる。
項目別に上から予算実績差異分析をするので、達成か未達
かに関わらず、その理由が一目瞭然である。 - 未達の場合、どの項目で何をしたら良いかわかる。
- 推移表として見れるので、大きな損失になる前に対策を
打てる。 - 全社決算だけではなく、商品別や事業別の決算に使える。
この様に効用を書き出すと、改めて経営に便利な情報と認識で
きます。
自分達の業容に合わせて、項目を追加して予算達成を確実なも
のとしましょう。
予算実績差異分析の例
会社、商品、事業により、差異分析が分かり易くなる様に項目
を選んで分析に生かして下さい。
- 追加項目例
- 出荷数量 又は、販売数量
- 売上利益率
- 各費目の売上高比率
- 売上原価率(対売上高)
- 限界利益率( 〃 )
- 固定費率( 〃 )
- 営業利益率( 〃 )
各費目の具体例
初めに代表的な費目名を列記しました。これに拘る必要はあり
ません。
既に、使い慣れている費目名をお使い下さい。
費目名 | 具体的内容 |
販売費計 | 工場販直費+営業販直費 |
工場販直費 | 輸配送費 梱包費 工場倉庫費 |
営業販直費 | 営業手数料 営業手配輸配送費 営業手配倉庫費 |
限界利益 | 売上高ー変動費 又は、固定費+利益 |
固定費計 | 共通一般管+営業一般管+事業部一般管+工場間接 又は、限界利益ー営業利益 |
工場間接費 | 工場の変動費を除いた人件費中心の経費 減価償却費 |
共通一般管 | 本社(除く営業、事業部)、研究等の人件費中心の経費 |
営業一般管 | 営業人件費、交際費、旅費等の経費 |
事業部一般管 | 事業部の工場間接費を除いた経費 |
予算業績差異分析の推移表
下記に示すのは一つのモデルです。月次決算は管理会計なので
自分達にとって役に立つ様に工夫して下さい。
その上で、私からの提案は次の通りです。
- 月次決算は、推移表として下さい
- 上期
- 前年度実績、当期予算、4月~9月の各月、当月の予算実績
差異、上期平均、上期予算実績差異合計 - 下期
- 前年度実績、当期予算、上期実績、10月~3月の各月、当月
の予算実績差異、下期平均、下期予算実績差異合計
- 必ず前年度実績、当期予算、当月と続けて下さい。
- 当期平均は、必ず表記して下さい。
予算業績差異分析の推移表(百万円)
実績当期予算4月差異
費目 | % | 金額 | % | 金額 | % | 金額 | 金額 |
売上数量 | 100 | 120 | 100 | -20 | |||
売上高 | 1000 | 1250 | 1050 | -200 | |||
売上原価 | 80% | 800 | 78% | 970 | 81% | 850 | -120 |
受払 (%) | 20% | 200 | 22% | 280 | 19% | 200 | -80 |
販直費計(%) | 5% | -50 | 5% | -60 | 6% | -60 | 0 |
工場販直費 | 3% | -30 | 2% | -30 | 3% | -30 | 0 |
営業販直費 | 2% | -20 | 2% | -30 | 3% | -30 | 0 |
限界利益(%) | 15% | 150 | 18% | 220 | 13% | 140 | -80 |
固定費計(%) | 11% | -110 | 10% | -120 | 11% | -120 | 0 |
工場間接費 | -30 | -30 | -20 | 10 | |||
共通一般管 | -50 | -50 | -50 | 0 | |||
営業一般管 | -20 | -30 | -40 | -10 | |||
事業部一般管 | -10 | -10 | -10 | 0 | |||
営業利益(%) | 4% | 40 | 8% | 100 | 2% | 20 | -80 |
予算実績差異分析の説明手順
- 先ず、全体を一口で説明。
4月の決算は、売上1,050百万、営業利益20百万で共に予算
未達でした。
特に、営業利益の対予算比20%と言うのはかなり低い達成率
です。
- 次に、概略を説明
売上が未達だったので受払額も伸びず、更に、受払率も予算に
対しマイナス3%の19%と低迷した為、受払額は200百万円と
未達でした。
これは、昨年度実績値です。
一方,売上が予算比84%と未達にも拘らず、販直費と固定費が既
に当期予算額の発生となりました。特に、営業一般管が売上未
達にも関わらず大きく予算オーバー,この結果、限界利益120百
万円、営業利益20百万円の大幅未達となりました。
- 更に、未達だった費目について詳しく説明する
先ず、原価低減の努力を織り込んだ受払率の向上と販直費の低
減努力を織り込んだ当期予算が、どの様に実現されつつあるのか、又売上未達にも関わらず予算を大きくオーバーした営業一
般管について説明します・・・。
続いては、月次決算/商品別損益です。